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2021.05.20

【ファンクショナルトレーニング #2】正しい動きを行うためのスクリーニングテスト

【ファンクショナルトレーニング #2】正しい動きを行うためのスクリーニングテスト
プロも実戦している、ケガをしないためのトレーニング法「ファンクショナルトレーニング」。今回は、全日本バスケットボール男子ナショナルサポートトレーナーとして活躍されているスポーツトレーナーの高橋基樹さんに、正しい動きを行うためのかんたんなテスト(スクリーニング)のやり方について解説していただきました。
 
【高橋 基樹トレーナープロフィール】
 

普段は専修大学体育会統括トレーナーとして強化指定クラブ(バスケットボール、陸上、バレーボール、卓球その他)のトレーニング、リハビリテーション怪我の治療等トータル的なコンディショニングを担当。

 

【保有資格】

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

鍼灸按摩マッサージ

指圧師 日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)

アディダス公認ファンクショナルトレーナー

 

【経歴】

2001年~現在 専修大学男子バスケットボール部トレーナー(関東大学D1)

2010年~現在 全日本バスケットボール男子ナショナルサポートトレーナー

2014年~現在 専修大学体育会統括トレーナー

 

 

 

スクリーニングとは?

スクリーニングとは、正しい動作が行えているか、または間違った動作、しっかりとした動作ができていないことを見つけ出すためのかんたんなテスト法です。

スクリーニングを行うことで、あなたがこの後どのようなファンクショナルトレーニングを取り入れるとよいかはっきりと分かってきます。

 

”Joint by Joint theory”

ファンクショナルトレーニングを行っていく上で重要な理論”Joint by Joint theory”についてご説明させていただきます。

人間の関節にはしっかりと動かなければいけない「モビリティ関節」と、あまり動いてはいけない、安定していなければいけない「スタビリティ関節」の2種類があります。

モビリティ関節は、足首、股関節、胸椎、肩関節です。そして、あまり動いてはいけないスタビリティ関節、これは膝関節、腰椎、腰、首になります。

モビリティ関節がしっかりと動いているか、スタビリティ関節をあまり動かさずに維持できているか、そういった部分をしっかりと見ながらスクリーニングを行うことで、その人の動きの何が良くて何が悪いかが見えてきます。

 

 

スクリーニングテスト #1 ディープスクワット

 

それでは、スクリーニングの1つ目のテスト、ディープスクワットを紹介していきたいと思います。これは先ほどご説明した、すべての関節が正常に機能しているかを見るテストとなります。

まず、肩幅より少し広いぐらいに足を開いていただいて、つま先は少し外側を向く感じにしてください。股関節の可動域には少し余裕を持たせてあげることが大事です。これがスタートポジションになります。

 

 

棒を持ってもらいます。ここから膝が曲がらないようにして、股関節だけをしっかり曲げてくる感じでつま先までタッチしてください。そこから一番深いところまでしゃがみ込みます。

このときに踵が浮いたり、膝が内側に入ったり、最初に決まった足のポジションが動いたりしないようにしてしゃがみ込んでいきます。そこから手を上げられる一番限界のところまで上げてもらいます。この状態から立ち上がります。これがディープスクワットになります。

 

 

スクリーニングテスト #2 アクティブストレイトレッグレイズテスト

スクリーニング2つ目は「アクティブストレイトレッグレイズテスト」というテストを行います。

これは太ももの裏、ハムストリングスが硬くなっているかどうかを調べるテストで股関節の動きが大事になってます。

まず、仰向けに寝てもらいます。仰向けに寝てもらったら、まず足首から先がしっかりと90°になるように維持します。つま先をしっかり天井を向けるようにして足首90°になるようにしてください。

 

 

普通にまっすぐ寝てもらって左右のねじれがないようにして、この棒を目印にやってみたいと思います。大腿骨、膝から股関節のこの付け根にあたる上前腸骨棘と呼ばれる部分、その中間点ぐらいに棒を垂直に立てます。

 

 

この棒を目印に足を上げてきてもらって、この棒よりも内側に足がくるのか外側にくるかで、ハムストリングスの硬さを調べたいと思います。

この棒よりも同じか、少し内側に入ってこれるようであれば、テストとしては問題ないということになります。

 

 

注意点としては、上げてくるときに膝がなるべく曲がらないようにまっすぐ維持してもらいます。また、上げてない方のまっすぐにしている足、こちらも膝が曲がってきたりとか、骨盤が浮くなどの動きが無いようにします。

肩甲骨も床につけたまま、お尻、上げてないほうの踵なども床にしっかり付いたまま、あとは反動をつけないで、ゆっくり上げることが大事になります。

 

 

足を上げたときにこうやって膝が曲がってきてしまうのは、もうこの時点でここの筋にタイトネスがあるというのが分かるので、この方は「ここをしっかりと緩めなきゃいけない」というのが分かります。

 

 

上げてきた足が仮にまっすぐになっていたとしても、逆側の床に付いていないといけない足が上がってきてしまって骨盤が動いてくると、この場合も何か問題があるというのが分かってきます。

 

スクリーニングテスト #3 インラインランジ

スクリーニング、3つ目のテストは「インラインランジ」です。

インラインランジでは股関節・足首・胸椎・肩関節を同時に見て、バランス感覚と正しい姿勢を維持できるか、そこをしっかりチェックします。

背中に棒を当てて持ってもらいます。右手が上、左手が下のときに、棒はまず頭に軽く触れて、尾てい骨にも触れています。手の位置は上の手が首の後ろぐらいです。下の手は腰椎、腰のアールがある辺りでキープして、肩が丸まって姿勢が悪くならないように胸しっかり張ってください。

 

 

このまま、板の上に乗ってもらいます。右手が上のときは左足が前になります。この歩幅の間隔なんですけども、しゃがんでもらったときに股関節と膝関節、足関節が90°、後ろの膝も90°ぐらいが維持できる形で、このスタンスを取ってもらいます。

 

 

このときに、両方の足がしっかりと板の上に乗っていることが大事です。後ろ足はしっかりと指が立った状態で、胸椎は上を向いて腰が反らないようにしっかりとまっすぐ立ててキープします。この状態で膝がしっかりとこの板に付くまで下げていきます。

しゃがんだときにつま先と膝が違う方向に向いていくのは、膝を大きく怪我する要因となります。こういう動きが体に刷り込まれていくと、トレーニングをしているのに悪い動きをどんどん体に入れていくことになってしまうので絶対にだめです。

 

 

膝を下げた時にバランスを崩して板から落ちてしまうのもだめなパターンなので、なんとかバランスを保って下げましょう。
板から落ちてしまう原因としては、股関節がきれいに動かないことによって、どこかでねじれが起きて足がずれてしまう。大元の要因として、太ももの内側の筋肉や横側の筋肉が硬くなってタイトネスが起きているんじゃないかということが予想されます。

 

 

また、下がったときに背中が丸まってしまうと、最後まで棒が付いてなければならない頭と尾てい骨から棒が離れてしまう。これもだめです。しっかりと胸が張れて、頭と尾てい骨に棒が付いている状態をキープしながら上下運動を行っていきましょう。

 

 

ホライゾンタルローテーション

スクリーニング4つ目のテスト「ホライゾンタルローテーション」をご紹介します。

まず、あぐらをかいてい座ってもらいます。足はどちらでもいいです。この状態から、棒を胸の前で持ちます。この状態から自分がいける、一番回せる範囲まで、顔も一緒にゆっくり動かしていきます。体と頭が一体化して、行ける所まで動いていきます。

 

 

このときに注意するのは、動かしながらバーが傾いたり、回しながら一緒に背骨が反ったりしてしまわないよう、良い姿勢をどれだけ維持できるかが大事になっていきます。やっていくうちに自分で回りやすい方向、回りにくい方向が出てくると思いますので、こうした左右の違いも感じていただけたらと思います。

 

 

回しながら棒が左右に大きくブレてしまうのは水平にきれいに回ってない証拠になります。

胸椎が丸まってしまうと良い姿勢が取れなくなりますが、これは胸椎だけの問題ではなく、骨盤がこの状態をキープしたときに最初から丸まってしまったことで胸椎が引っ張られて丸まってしまっていることも考えられるます。このような場合、ハムストリングスや臀筋(でんきん)のタイトネスなども改善が必要な状態といえます。

 

 

ホライゾンタルローテーション~棒がない場合

棒がご自宅に無いという方もいると思うので、棒がなくても調べられる方法をご説明します。

立った状態で、足は肩幅ぐらいに開きます。足の裏をしっかりと地面に付けます。この状態で棒を持った時と同じようにローテーションしていきます。

 

 

この時、振り向いた側の足の親指が浮いてこないように注意しましょう。親指が地面から離れないギリギリのところまでが、その人の胸椎の可動域になります。

 

 

1つの目安として、上半身を後ろに回したときに、回している方と逆側の肩がしっかりと後ろから見ている人に見えるか。

振り返りきれず途中で止まってしまうのであれば、肩~首まわり周辺のタイトネスが懸念されます。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?今回のスクリーニングの結果をもとに、あなたに必要なエクササイズをこれからいくつかご紹介していきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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